県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は4日、がんの放射線治療外来を初めて開設した。毎月第1火曜日の午後、沖縄本島の県立中部病院の専門医が診療し、放射線治療患者の他病院への紹介や放射線治療後の患者相談などに当たる方針。放射線治療設備は八重山病院にないため、治療は本島に行く必要があるが、外来開設により県内に9か所ある治療施設での受診を円滑化できることが期待される。
外来は、中部病院の戸板孝文・放射線治療センター長と玉城稚奈・放射線治療専門医の2人が交互に担当する。
戸板センター長は近年の放射線治療の進歩と身体への負担が少ない点などを指摘し、「がんと診断されると驚かれると思うが、その後の治療を前向きに考えていくなかで、治療の選択肢を増やしたい」と強調。
「放射線治療への馴染みがないため、不安を感じる人も多いが、前立腺がんなど、がんの種類によっては手術と効果に差が無いものもあり、副作用もかなり減ってきている。患者さんからも『放射線治療はどうなのか』と遠慮無く聞いてもらえれば」と呼び掛けた。
八重山病院の平良美江副院長は「紹介先への連携がスムーズにいき時間のロスがなくなる。また患者さんが八重山に帰ってきてからは、治療した医師と連絡を取り合い、医師同士の連携も強まる」と期待した。
放射線治療はがんの種類によって、2週間~1か月半ほどの集中治療を行う。沖縄県での治療患者数は増加傾向にあるが、経済的理由などで受けていない人も多いという。
石垣市ではがん患者など、市外の医療機関での通院治療を余儀なくされている人に対して経済的負担を軽減する「難病患者等渡航費等助成事業」があるが、助成金額や回数上限などに課題がある。