八重山のサンゴ礁保全対策を官民で議論する「石西礁湖自然再生協議会」の第26回会合が16日、石垣市商工会館で開かれた。サンゴ群集の修復に向け、海域に幼生供給基地を整備することを盛り込んだ環境省沖縄奄美自然環境事務所の事業実施計画案を承認した。
同案では、過去の移植事業について、移植数や実施面積が限定的で「生態系の回復には至らなかった」と指摘。サンゴ礁の生態系を脅かす大規模なかく乱事態が発生しても、サンゴ群落修復の効果を発揮できる事業を目指す方針を示した。
2020年度から5年間は、複数の手法技術を試験・検証する期間とする。具体的には、ミドリイシ類の幼生の供給量を高めることに重点を置き、サンゴ幼生の供給基地を海域に整備する。着床具にサンゴを着生させ、5年後をめどに大量の幼生を供給する。
来年度で幼生供給基地の候補地を抽出し、環境条件などの調査を実施する予定。竹富島の南、竹富島と小浜島の間を現時点の候補の海域に想定している。幼生の供給量など、修復事業の具体的な規模は来年度検討する。
ほかにモニタリング調査、オニヒトデ駆除、陸域と海域が一体となった総合的な対策なども盛り込んだ。同案は3月に確定する。
琉球大学の研究チームは、2016年の大規模白化によるミドリイシ類の影響に関する調査結果を報告。
サンゴ礁が健全だった12~15年までのピーク時に比べ、稚サンゴ密度、成熟サイズ群体数、生残群体の成熟度とも20%程度に低下したと明らかにした。
今後は石西礁湖内の重要海域保全と、西表島周辺などの健全な群衆、ミドリイシ個体群の維持がさらに重要になるとの考えを示した。