【視点】「自分一人が幸せ」でいいのか

 高齢化が進む中、社会保障を担う若者たちの負担は増える一方だ。結婚に踏み切れないのは経済的な事情が背景にあるのか。県内でも若年層の新婚カップルに結婚資金を給付する自治体があるが、結婚を願う若者の支援に特化した政策を推進すべきだ。
 人口減少社会で最大の課題は人手不足である。県内でも建設、介護、保育などの現場がマンパワー確保に頭を悩ませている。懸念されるのは安全保障を担う自衛隊の隊員不足だ。中国や北朝鮮の脅威が増大する中で、自衛隊の勢力が縮小を続けることは、国民の平和や安全に穴が空く事態を招きかねない。
 一事が万事で、人口減少社会の中、平和で豊かな日本を果たして次世代に継承できるのか、不安にならざるを得ない。
 人手不足を補うため、ITC(情報通信技術)やAI(人工知能)の導入や、外国人労働者の活用などが進められている。だが県内で多くを占める零細中小企業は、それだけの投資に耐える経済的基盤を持たない。政府や自治体による支援策が求められる。
 個人の価値観が多様化する中、世間一般で「結婚して子どもを持つことが幸せ」とは必ずしも言われなくなった。少子化は何より、そのような社会情勢を反映している。
 しかし家族の絆、親子の絆は、千年、万年の昔から人間にとって最も基礎的な人間関係であり、個人の人格形成や、地域社会構築の核となってきた。
 「自分が親になって、初めて親の気持ちが分かった」と誰もが言う。家族への愛が社会への愛につながり、人間同士が相互に尊重する心を養う。「自分一人が幸せな人生を送れれば、それでいい」という考え方では、人生の最期に空しさが残るだけだ。

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