【視点】子どもに悪影響及ぼす貧困

 家庭生活についての質問では「子どもを育てるために我慢している」が53・3%、「自分一人で育てているという圧迫感を感じる」が33・4%で、いずれも非困窮層の割合を上回り、困窮層の保護者が子育てにストレスを感じやすい実態も浮き彫りになった。困窮層では子どもに対する絵本の読み聞かせや、図書館に行くといった文化的な活動の頻度も低い。
 保護者の就労状況を見ると、母親は無職かパート・アルバイト、父親は自営の割合が高い。職業が不安定で、定期的な収入があるとは限らない状況であることが分かる。
 国、県とも子どもの貧困対策を重要施策の一つに位置付けており、離島も含め、子どもの居場所や支援員配置といった取り組みが実施されている。ただ調査からは、そういった制度の周知が進まず、利用率が低迷している現状も浮き彫りになった。
 困窮層を大づかみにして予算を投入するだけでは効果は上がらず、一つひとつのケースに応じ、きめ細やかなケアが必要だ。行政の現場で根気とやる気が試されている。
 子どもの貧困は結局は親の貧困でもあり、県民所得の低い沖縄で問題が深刻化するのは当然予想されたことだ。
 県内経済は観光産業を中心に活況を呈しているが、その他の産業では依然、多くの中小企業が好景気を実感できずにいる。低収入で劣悪な労働環境に甘んじている保護者はまだまだ多い。
 観光と農業を除けば、これといった産業のない沖縄では、人材こそが最大の資源と言われる。しかし貧困は子どもの成長に悪影響を及ぼし、人材の有効活用を阻む。県も国も、古くて新しいこの問題に、腰を据えて取り組まなくてはならない。

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