21日投開票の参院選で、自民公認、前シンバホールディングス会長の安里繁信氏(49)=公明、維新推薦=、無所属、琉球大名誉教授の高良鉄美氏(65)は10日と12日に相次いで八重山入りし、遊説で支持を訴えた。安里氏は2021年度末に期限切れとなる沖縄振興計画の改定、高良氏は米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を訴えの柱に据えた。両氏の訴えを振り返る。
「残された3年間は1日たりとも無駄にできない尊い時間だ」
12日、街頭演説の冒頭から、新たな沖縄振興計画の必要性を訴えた安里氏。沖縄、八重山観光の発展を例に「バブル、ブームと言う人もいるが、すべてには意図がある。種まきしてきたことが実をつけ、花を咲かせ、今をつくってきた」と、すべては戦略的な沖縄振興計画の結果だったと強調した。
ビジネスマンらしく、政府との交渉の重要性に話を移す。
辺野古移設を巡って県と政府が対立する現状を指摘し「協議を重ね、信頼関係を再構築するところから問題解決の糸口を探るのが交渉人の仕事なのに、交渉のテーブルもつくれない時間だけが過ぎ去っている」と批判。「誇りを持って国政の中で声を上げていく。イデオロギー闘争は終わり。前向きな政治情勢を我々の手に取り戻したい」と訴えた。
「現在、住民の民意を問うことなく、頭越しに自衛隊の基地が造られようとしている」
10日、石垣島への陸上自衛隊配備計画から街頭演説を始めた高良氏。辺野古移設問題も絡め「民意が決まっているのにかかわらず、工事を強行しようとする動きに最も危機感を感じている。憲法の根本的な原理である民主主義を守り切れるかが大きく問われている」と声を張り上げた。
憲法学者らしく、憲法の条文や理念がポンポンと言葉から飛び出す。
「米国統治のもとで(憲法が保証する)『健康で文化的な最低限の生活』が25年も遅れてしまった。福祉の遅れを取り戻し、暮らしを支える、総合福祉社会のための社会保障基本法をつくる」と専門分野をアピールした。消費増税にも言及し「沖縄の経済をブレーキをかけてしまう。絶対に反対」と力説した。