「琉球庶民の味」堪能 那覇で一日限定の芋酒バー

各社のイムゲーを持つ左から請福酒造の漢那憲隆氏、多良川の砂川拓也氏、久米島の久米仙の島袋正也氏=23日、沖縄タイムスビル1階

 請福酒造(石垣市)、多良川(宮古島市)、久米島の久米仙(久米島町)の離島酒造3社は、100年以上前に県内で庶民に広く親しまれた伝統蒸留酒「イムゲー(芋酒)」をPRする「IMUGE BAR(イムゲーバー)」を23日、那覇市の沖縄タイムスビル1階で、1日限定で開催した。
 イムゲーは首里王府の管理下で造られた泡盛と異なり、庶民に身近なイモや黒糖で自家用に製造されていた大衆酒。
 明治後期の自家醸造を事実上禁止する酒税法により大正のころには姿を消してしまったとされる。離島酒造3社と沖縄工業技術センターと共同で昨年商品化に成功した。
 発起人でもある請福酒造の漢那憲隆社長は「泡盛は琉球王朝の一部の人や外貨獲得のために輸出や幕府に献上されることが多く、庶民に広く飲まれるものではなかった。沖縄の今に残る唄と踊りなどの庶民文化が日常にあるのに、その場に酒がないわけがない」と疑問を持ち、調査するとイムゲーに行きついたという。
 漢那社長によると明治の文献ではイムゲーは7千箇所で製造されていたとされる。
 イムゲーは最初に華やかな甘藷(かんしょ)に由来する香りと、次に甘くて重厚な風味が来て、飲み口は軽くキレがあるのが特徴。
 今は3社だが参画を予定している企業もあるといい、県産の芋と黒糖の使用を条件に商標も無償で提供し、普及に努めるとしている。
 「沖縄の観光は琉球王朝の文化だけでなく、離島や各地の庶民レベルで先祖の残した文化を見つめ直さなくてはいけない」と強調。「泡盛に対抗し得る第2の地酒にしたい」と意気込んだ。来年には9万から10万本の製造を見込む。
 この日は各社のボトル販売のほか、1杯200円でロック、水割り、ソーダ割で販売され、泡盛でもなく、焼酎でもない琉球庶民が愛した幻の酒の味を楽しんだ。

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