離島の八重山、宮古の子どもたちは沖縄本島に比べ、スポーツにせよ、勉学にせよ、ハイレベルな競争相手と切磋琢磨する機会が少なく、環境に恵まれない。優秀な生徒は中学を卒業すると島外に流出する傾向が強く、親の経済的負担も課題になっている。
八商工の甲子園出場は、石垣市の監督派遣事業や、民間団体「夢実現甲子園の会」のバックアップで、優秀な選手の島外流出を戦略的に止めたことで実現した。
一方、今回の八重農は部員不足の中、選手たちや父母、学校関係者が地道な努力を実らせ、全くのノーマークの状態から、実力で九州大会出場をもぎ取った。
今いる場所が離島であれ本島であれ、自分を信じて懸命に頑張れば、夢は必ず手に届くところまで来る。八商工とは違った意味で、離島の可能性を身をもって示した活躍と言える。
それに甲子園や九州大会出場の経験がある八商工、八重山高校と違い、八重農は地元3高校の中で、これまで高校野球では影が薄かった。後輩やОBの喜びもひとしおだろう。
地域の期待や応援が学校に元気を与え、学校の元気が地域にさらなる元気を与える。二重三重の相乗効果が増幅していくのも、高校野球の醍醐味だ。
八重農は10月5日、優勝候補筆頭の沖縄尚学と県大会の決勝を戦う。住民挙げて応援したい。