【視点】防衛相と初会談 知事の戦略見えず

 9月27日の宜野湾市議会の辺野古移設促進決議も、辺野古反対を叫ぶのみでは何年経っても普天間返還のめどが立たないという市民の危機感を反映している。しかし防衛相とのやり取りからは、知事が宜野湾市議会の思いにどう応えるのか、具体策がうかがえる場面はなかった。玉城県政は自縄自縛に陥り、状況の変化に対応できずにいるようだ。
 辺野古反対派が批判を集中させているのが移設先に存在する軟弱地盤の問題だ。河野氏は会談後、報道陣に「経験豊富な工法で安定して工事が進められると聞いている」と述べ、有識者の検討委員会の提言も踏まえ、予定通り工事を続行できるとの認識を示した。
 政府は今後、軟弱地盤の改良工事を含む辺野古移設の工期や事業費を示し、県へ設計変更を申請する方針だ。既に申請を許可しない方針を示す玉城県政との対立がさらに激化しそうだ。
 玉城知事は、米軍が伊江島補助飛行場でのパラシュート降下訓練を支援するため、民間港湾である本部港を使用したことに抗議し、使用自粛を求めるよう要請した。河野防衛相は、港湾の使用自粛について直接的には言及しなかったものの、パラシュート降下訓練の伊江島移転を負担軽減に向けた一つの成果として改めて強調した。
 辺野古移設までの普天間の危険性除去や、相次ぐ米兵の飲酒運転に象徴される米軍絡みの事件・事故の防止策など、政府が取り組むべき課題は辺野古以外にも多い。「県民の負担軽減のために政府としてできることは何でもやる」という河野氏の言葉通りの本気度を見せてほしい。

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