県議会土木環境委員会(新垣清涼委員長)は7日、県希少野生動植物保護条例を審議し、原案を全会一致で可決した。条例案は、県内に生息・生育する希少野生動植物の保護を図るため、知事が個体の捕獲や譲り渡しを禁止し、生息地域を保護区や管理地区に指定できる。国が自衛隊配備を進める石垣市平得大俣の予定地付近で営巣するとされるカンムリワシも対象になる可能性がある。施行は2020年11月からを予定。
条例案の採決で自民党の座波一氏、具志堅透氏、座喜味一幸氏は、会派内の意思統一ができていないとして退席した。
条例案によると、管理地区内で工作物の新築や改築のほか、宅地造成などを行う場合、知事の許可が必要になる。保護の対象となる希少種は、県が2017年から2018年に改定した第3版レッドデータ沖縄に記載された1237種から選ばれる見通し。
県は、レッドデータ沖縄に記載する絶滅危惧種が980種から1237種に増えたことや、希少種の固体数の減少、開発などによる環境の悪化などを危惧し、既存の保護法令を補完する目的で、条例制定を求める。
委員からは、世界遺産登録や密漁対策のためには、条例が必要との認識を示しながら、県知事の裁量で際限なく管理区域が広がり、開発が制限される可能性を懸念する声が上がった。
県環境部の担当者は保護区の設定について、「土地の所有者や事業者と調整する」と強調。開発に許可が必要な管理地区で既に事業を行っている場合には、指定日から3カ月以内に届け出れば事業を継続できると説明した。
条例案の第一章総則など一部の規定は、公布日から効力を持つとしている。