沖縄県振興審議会基盤整備部会(有住康則部会長)は29日午後、那覇市内で第4回部会を開催した。沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)の総点検報告書の素案について審議が行われ、県内各地の圏域別に事務局が説明した。
八重山圏域については、新石垣空港の供用開始やクルーズ船の寄港回数の増加で、2011年に64・8万人だった入域観光客数が、2017年に136・3万人になり約2・1倍になったと明記。計画の成果を強調した。委員からは素案に反対する意見は出ず、最終日となる次回の部会で案として取りまとめることが決まった。
素案の八重山圏域についての記述では、今後の課題について、新石垣空港へのアクセス道路の整備や旧石垣空港の跡地利用の検討が必要とされた。また、台風発生時のライフライン確保のため、社会資本の整備が必要とも明記された。入域観光客の増加に伴い、自然環境への負荷増大が懸念されるため、ルール作りが必要とも記述された。
委員の神谷大介琉大工学部准教授は、西表島が世界自然遺産登録を目指すことについて「オーバーツーリズムによるロードキルも懸念される」と指摘。観光客が増加することで、島内を走るレンタカーなどの車両が増えることを予想し、イリオモテヤマネコなどの希少動物が交通事故で死亡するリスクが増えると警鐘を鳴らした。県当局は「取り組みは進んでいる。素案への記入については検討する」と答弁した。