東日本大震災の津波被害などをきっかけに制定された「津波防災の日」と「世界津波の日」の5日、石垣市は竹富町と合同で、県防災危機管理課をはじめとする関係機関と連携し、避難行動や同校屋上での通信機器応答訓練など、津波浸水域内公共施設での津波避難訓練を実施した。訓練には市役所と町役場の職員、計110人ほどが参加した。
午前10時に震度6弱の地震が発生、3分後には大津波警報の発表を想定し、訓練を開始した。
市役所では庁内放送での警報情報伝達訓練を経て、職員らが700㍍ほど離れた石垣小に小走りで向い、途中、拡声器から英語・中国語・韓国語で情報を発信し、多言語避難誘導も行なった。
同校屋上では避難者名簿の作成と通信機器応答訓練を実施。中山義隆市長は防災行政無線で県防災課と八重山事務所に連絡、石垣安志教育長は衛星電話で平久保小と川平小に安否確認、知念永一郎総務部長が固定電話型PHS「イエデンワ」でホテル東横インに避難した水道部職員らや気象台と連絡を取った。
中山市長は総評で「首里城や岐阜県白川郷での火災を見て、初動の重要さを感じた。自然災害も同じ。職員は市民の命を守るため、一つひとつの安全項目を日頃から検証して」と呼び掛けた。
竹富町の通事太一郎防災危機管理課長は「町内でも島々、各拠点22カ所で同様の訓練を実施した。こういう連携の機械を活用して各地における災害対策を検証していきたい」と述べた。
高齢者と視覚障害者の代表として参加した沖縄伴走ランナーネットワーク八重山支部の宮良常支部長(84)は「自分1人では逃げられない。助けがないと津波に流されてしまう」と話し、同支部の圷寿男事務局次長は「助けに来てもらえる体制作りが必要」と強調した。
避難行動では途中息切れなどで歩き出す参加者らがほとんどで、市の女性職員は「小走りもキツかったが、屋上までの校舎内の階段が特に。ハイヒールだと余計に大変」と振り返った。
訓練後は訓練参加者へ避難所要時間、避難経路などの訓練検証を行うためのアンケートを実施して取りまとめ、今後の避難実施計画実施に反映される。