石垣市の自治基本条例を検証する講演会が5日夜、市健康福祉センターで開かれ「自治基本条例に反対する市民の会」会長の村田春樹氏が講師を務めた。村田氏は、同条例で定められた住民投票制度に対し「無責任体制で、市長も議員も結果に責任を取らない」と指摘。同条例は「百害あって一利なし」と述べ、廃止すべきとの考えを示した。
石垣島への陸上自衛隊配備計画の賛否を問うため、市民団体が同条例を根拠に住民投票の実施を要求している。しかし村田氏は、地方自治体の権限を越える住民投票であるとして「地方自治法に違反する。市議会が(住民投票条例を)否決したのは正しい判断」と強調。
住民投票のデメリットとして➀議会の軽視、否定につながり、議会制民主主義への挑戦➁熟議を経ない拙速の判断➂政治的乱用の恐れ➃税金の浪費―などを挙げた。「自治体の中で賛成と反対がはっきりして、住民同士がけんかになり対立する。対立は議会の中で議員がやればいい」と述べた。
自治基本条例の最大の問題点として、同条例で定める「市民」の範囲が広過ぎることを挙げ「『住民』は法律で定義されているが、自治基本条例は『市民』を勝手に定義している。外国人や、辺野古のテント村にいる人も市民になり、プロ市民が市政に介入することになる」と疑問視した。
全国各地で同条例の制定が進んだ背景として「ベルリンの壁が崩壊して、ロシア型の革命での共産主義や社会主義が無理になり、地方自治体を独立させて国家をひっくり返すしかなくなった。(同条例は)日本を連邦制国家にして解体するための流れ」と説明。同条例が究極的には「『自治体の憲法である』と言って石垣市を憲法体制から引っ張り出そうとしている」と危機感を示した。
その上で「この条例は石垣市をぐらぐらさせている。堤防に小さな穴が開いて水が出ている間はいいが、この穴が自治基本条例で、いつしか決壊をもたらすかも知れない」と警告した。
参加者との質疑応答では、同条例を廃止する議案を市議会に提出するよう求め「石垣島が日本で最初に廃止した自治体になる。我々も安心して石垣島を見ることができる」と述べた。
講演会は「自治基本条例を学ぶ会」(山森陽平世話人)が主催した。