【視点】最長政権、改憲の道筋見えぬまま

 国民の関心が高い経済政策を中心に注力した判断は政権長期化の原動力になったが、そのぶん、政権の理念である改憲に割くエネルギーが分散してしまったということだろうか。
 そもそも安倍政権が根強い支持を誇る要因の一つは、明確な保守の理念を掲げ、選挙で得た民意をバネに、目前の政策を果断に実行してきた点にある。最近の対中融和姿勢などには批判も多いが、それでも核心的な支持層は、首相の理念に信頼を寄せ続けている。
 残り任期2年、首相が求心力を維持できるかどうかは、理念の本丸である改憲に対する本気度が大きく関わってくるかも知れない。
 米国の大統領は、失政がなければ再選され任期8年を全うするのが普通だ。地方の首長も含め、10年未満の政権を、通常は誰も「長期政権」とは批判しない。安倍政権の不祥事が「長期政権の緩み」などと糾弾されるのは、相対的に政権が長くなってしまった反動だろうが、問題なのは長さではなく、政権を構成する個々の政治家の資質である。野党には追及のポイントを誤らないでもらいたい。
 沖縄では安倍政権の評価が低いが、米軍普天間飛行場の辺野古移設を推進してきたことが不人気の大きな理由と思われる。残念ながら多くの県民の間で、基地負担軽減策である辺野古移設が、新たな基地負担であるかのように誤解されている。
 現在、2021年度に期限切れになる現行の沖縄振興計画をどうグレードアップさせるかが大きな課題になっている。本来なら史上まれに見る安定政権である安倍政権の存在こそ、沖縄振興策を大きく前進させる好機でなくてはならない。
 しかし基地問題で政府と対立を繰り返す玉城デニー県政のもと、状況は全く逆になってしまい、今後が危ぶまれている状況だ。知事には、政府と県政の関係を正常な軌道に戻す努力が求められる。

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