石垣市議の仲間均氏(69)は、25日ごろから尖閣諸島海域に出漁することを計画している。仲間氏の出漁は2017年10月以来。「尖閣周辺で釣った魚をブランド化することで、周辺での漁を盛んにしたい。漁をしながら、周辺を航行する中国公船の状況も確認したい」と意気込んでいる。17日、八重山日報社の取材に明らかにした。
仲間氏が所有する漁船「高洲丸」(4・8㌧)での出漁になる。18年も4回ほど出漁を計画していたが、日中関係への配慮を求める政府関係者から「見合わせるよう要請があった」(仲間氏)などの事情で中止されたという。
仲間氏が今回の出漁に強い意欲を示す理由の一つは、尖閣周辺で釣った魚のブランド化が進まない現状があるためだ。出荷時にケースに貼り付ける「一口食べて尖閣を守ろう」と記されたシールの商標を登録しており「広く漁業者に使ってほしい」と呼び掛ける。しかし現在、尖閣周辺は海上保安庁の巡視船と中国公船が対峙する緊張の海となっており、漁業者はほとんど近づかない。
尖閣海域に中国公船を派遣している中国海警局は従来、行政機関である国務院の管轄だったが、18年7月から、中国人民武装警察部隊に編入され、中国軍の指揮下に入った。
仲間氏は「中国公船はこれまで、私の船が漁に出ると周辺から逃げ出していた。今回は海警が中国軍の組織になって初めての出漁なので、中国公船の反応も確認したい」と話す。1995年以来、尖閣諸島へ16回の上陸経験はあるが、今回の上陸はない。出漁期間は30日ごろまでの予定。
高洲丸は漁船としては小型であるため、高波の日は操業が難しく、思うように出漁できない。仲間氏が代表世話人を務める「尖閣諸島を守る会」は、尖閣海域で操業できる20㌧クラスの漁船を購入するため、1月から募金活動を始めた。5千万円の目標に対し、3月15日現在で集まったのは約60万円にとどまっている。
仲間氏は「日本の領海である尖閣諸島海域の魚をブランド化する活動が、尖閣を守ることにつながる」とアピールした。募金先など詳細は同会ホームページに掲載している。