石垣島への陸上自衛隊配備計画は今年、最後の山場を迎えそうだ。石垣市は駐屯地建設予定地となっている市有地の一部を売却する準備を進めており、早ければ3月議会を待たず、臨時議会で売却を提案する考え。市議会では陸自配備に賛成する与党が多数を占めており、売却は可決される可能性が高い。売却が決まれば配備の障害はほぼクリアされることになり、駐屯地の開設は確定的な状況になる。
中山義隆市長は新春インタビューで、市有地売却に向けた分筆作業を進めていることを明らかにし「(市有地)売り払いの議会への議案提案は、分筆作業が整いしだいなので、場合によっては3月議会より前の臨時議会も有り得る」と述べた。防衛省は年度内の3月までの用地取得を目指していることから、2月までに臨時議会が招集される可能性がある。
市議会では議長を除き、与党12人、野党9人。与党内でも公明党は配備に慎重姿勢を示しており、議案には賛成しないと見られるが、その他の市議がまとまれば、議案可決に必要な多数は確保できる。
ただ昨年の12月議会では、自治基本条例の廃止条例案を巡って与党内の亀裂が露呈した。市有地の売却議案でも、やや不透明感は残る。
中山市長は、市有地の残りの部分は貸し付ける方針。賃貸で得られる収入を継続的な市民サービスに使うことにしており、児童生徒の派遣費が使途の候補に挙がっている。
駐屯地建設予定地では、旧民有地で昨年から用地造成工事が始まった。玉城デニー知事は昨年12月、報道各社のインタビューで「工事をいったん止めて、地元の理解を得るべきだ」と工事の中止を要求した。