【視点】米・イランの緊張高まる

 安倍首相は昨年12月、イランのロウハニ大統領を招き、米国との「仲介外交」を展開した。11日からはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、緊張緩和を働きかける予定だった。ところが、ここにきて米国とイランの対立が先鋭化し、はしごを外されてしまった形だ。
 世界最強の軍隊を持つ米国には、外交にさまざまな選択肢がある。自国の国益が最優先であり、同盟国であるとはいえ、ある意味では日本などお構いなしなのだ。これがトランプ流の自国第一主義であり、日本も腰を据えて米国の戦略に付き合う必要があるだろう。
 米国はイランに対し強硬姿勢に出る一方で、北朝鮮には融和的な姿勢を続けている。トランプ大統領の一貫性のなさを指摘する声もあるが、そうではないだろう。
 北朝鮮はイランとは異なり、後ろ盾である中国の存在がある。米国は貿易戦争に名を借りた中国との覇権争いに突入しており、北朝鮮は二次的な問題に過ぎないと認識しているのは明白だ。中国を締め上げることで北朝鮮も屈服させられるという読みだろう。
 一方で日本は北朝鮮の核やミサイルの脅威をまともに受ける当事国であり、しかも拉致問題を抱えている。ここでも米国との立ち位置の違いがあり、米国外交に振り回される状況が続く。
 中東でも東アジアでも日本が主体的な外交に苦労するのは、軍事力を国益追求の手段とする選択肢を持てないからだ。米国が国際舞台で思うままに振る舞えるのと、ちょうど対照的だと言えるだろう。
 21世紀も日本が平和国家であるべきことは論を待たないが、それと憲法のあり方は別問題である。日本外交が憲法によって自縄自縛になっていないかも検証する必要があるだろう。

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