【視点】新型肺炎、運営問われる国際機関

 世界保健機関(WHО)や国連の運営の在り方が改めて問われている。中国を中心にした新型コロナウイルスによる肺炎の流行に対し、感染拡大の防止より政治的な思惑を優先させ、中国政府に忖度(そんたく)するような行動が目立つためだ。
 WHОのデトロス事務局長は3日、米国が中国全土への渡航中止勧告を出したことなどについて「(中国への)渡航や貿易を不必要に妨げる措置は必要ない」と述べた。
 新型肺炎の感染拡大に本気で取り組む決意が感じられない。デトロス氏は従来から、感染拡大防止に関する中国の措置を一貫して評価するなど、中国寄りの言動が目立つと批判されてきた。

 出身地エチオピアが中国の「一帯一路」構想で多額の投資を受けていることを要因に挙げる声もある。
 WHОが新型肺炎に関する緊急委員会で、感染国としては唯一、台湾を排除したことも問題になった。
 背景には中国の圧力があったと見られ、安倍晋三首相は参院予算委員会で「政治的な立場で排除しては、地域全体を含めた健康維持、感染の防止は難しい」と懸念を示した。
 台湾当局は2日、WHОの緊急事態宣言を受け、イタリア政府が台湾と結ぶ航空便の停止を決めたとして「WHOが発する誤った情報に基づく誤った決定だ」と批判、「遺憾の意」を表明した。
 そもそも、WHОの緊急事態宣言のタイミングが遅れたのも、根底には中国への配慮があったと指摘する報道もある。
 国連も同様な状況だ。国連の機関である国際民間航空機関(ICAO)が台湾を排除していることに関し、米首都ワシントンのシンクタンク研究員や米連邦議員スタッフらがツイッターで疑問を呈したところ、多数のアカウントがブロックされた。オルタガス米国務省報道官は1日、ICAОが台湾の国際的な役割を巡る自由な議論を抑圧したと厳しく批判する談話を発表した。

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