明和大津波を語り継ぐ 市議会、公民館に図書寄贈 桃原用昇氏

 市出身で角川書店専務や産経新聞社顧問などを歴任した桃原用昇さん(77)=東京在=が12日午後、石垣市役所と市教育委員会を訪れ、1771年に八重山諸島を襲った明和大津波の悲劇などを記した後藤和久・島袋綾野編「最新科学が明かす明和大津波」(南山舎刊)を石垣市議会、石垣市自治公民館連絡協議会へそれぞれ寄贈した。

 石垣市議会では平良秀之議長へ22冊、石垣市自治公民館連絡協議会の前盛善治副会長へ41冊を手渡した。
 桃原さんは「災害がいつ起こるかを正確に予測することは不可能。本書を読んで明和大津波以外にも八重山諸島には何度も津波が襲来していたことが分かるので、ぜひご一読いただき過去の災害を学び、悲劇を風化させることがないよう歴史の語り部となっていただきたい」とコメントした。
 平良議長は「津波はいつきてもおかしくない状況。議会に携わる者からしっかりと歴史を直視し、市民を守るためにどういう政策を取るか、この本を役立てていきたい」と抱負を述べた。
 桃原さんからは議会に対し、津波災害からの避難方法でもある「津波てんでんこ」に基づく防災訓練の実施や毎年4月に行われる明和大津波遭難者慰霊祭を宮良地区から拡大し、市内の全学校での学習機会の創出。本の著者である島袋綾野氏を招いての市民講座などを提案した。
 前盛副会長は「ふるさと八重山のために、津波などの大災害について、住むものに警鐘を鳴らしていただき感謝したい。住民に(図書の)中身を伝えていけるよう努力します」と感謝した。
 明和大津波では八重山全域の人口約2万9千人のうち、32%にあたる9300人が亡くなり、宮古島まで合わせると1万2千人の犠牲者が出たとされる。
 石垣島に絞ると人口約1万7500人のうち、48%に当たる8400人が犠牲となった。
 図書は各公民館へ置かれる予定。

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