道徳教科化など批判 前川喜平氏が講演

前川喜平氏の基調講演を聞く来場者ら(左)と教育講演会に臨む前川氏=13日夜、石垣市民会館大ホール

 元文部科学事務次官の前川喜平氏が13日夜、石垣市民会館大ホールであった教育講演会に登壇した。2006年度の高校日本史教科書の検定で、沖縄戦での「集団自決」の記述について「認めていたものを突然、認めなくなった。これはおかしい」と主張。自身で学問の自由の重要性を強調する一方、集団自決での軍命令の有無をめぐる学問研究の進展には一切触れなかった。多くの反証がなされている「従軍慰安婦」「南京虐殺」についても「歴史学が認めてきた事実」と断言し、「事実を政治的に否定する安倍さんたちは歴史修正主義者」と批判した。
 講演では、2018年度以降に実施されている「道徳教育の教科化」について、「学校教育が国家主義的、全体主義的なものに戻ってしまう。(教科書は)自己抑制や自己犠牲を美徳とする内容が多く、『個』と『地球』という観点がない」と強調。

 「人類全体として取り組む課題があるのに、『日本人としての自覚を』という国の単位で止まり、『地球市民』として取り組まねばならないというところに到達していない」と批判した。
 「先祖と自己の命のつながり」を教える点についても警戒し、「先祖から子孫に受け継がれる縦の血のつながりを重視する、万世一系的な考え方。森羅万象に生命があるという考えではない」と述べた。
 また「八重山地区教科書採択問題」について、当時の竹富町教育長・慶田盛安三氏との対談を前に、「13年の3月3日のツイートで『ガンバレ竹富町、負けるな慶田盛教育長』と言っていた」と明かした。
 講演会は「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」の参加団体が主催。市民ら約500人が参加した。

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