沖縄本島で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、石垣市が小・中学校を2週間臨時休校する措置に踏み切った。子どもたちを守るために妥当な措置だ◆しかし市は2月末の段階で、政府の一斉休校の呼び掛けには応じず、授業を続行した。八重山で感染者が出ていないことを受けた判断で、当時、共働きなどの事情で子どもの面倒を見られない親からは「英断」と賛同の声が上がった。だが「今にして思えば、あれがターニングポイントだったのでは」と見る市民もいる◆授業を続行したのは県内でも少数だったため、全国ニュースでも石垣市の名前が報道された。それを一種の「安全宣言」と受け取り、多くの観光客が旅行先に八重山を選ぶきっかけになったのではないかと言うのだ◆確かに3月には八重山を訪れる観光客が増え始め「この中に感染者がいるかも」と住民の不安が高まった。未知のウイルスが相手だけに、国や自治体も手探りの対応とならざるを得ず「あの時点の判断は正しかったのか」という検証には、ある程度の時間が必要だ◆授業続行という当時の石垣市の判断には「離島は大丈夫」というある種の自信のようなものがあったのは事実だろう。しかし今、石垣市には、もはやあの当時の余裕はない。