【視点】日中友好、八重山の不安除去が先

 中国政府は8日、新型コロナウイルスが発生した湖北省武漢市の封鎖を解除した。当初、ウイルスの発生国として厳しい視線を浴びていた中国だが、ここへ来てウイルスの抑え込みを大々的にアピール。友好国にマスクを贈ったり、医療チームを派遣する「マスク外交」を展開し、逆に国際的存在感を高めている。中国共産党政権の強靭さ、したたかさを改めて見せつけられる思いだ。
 共産党機関紙、人民日報(電子版)は同日の評論で「武漢での素早い措置が、他国の防疫のために貴重な時間を稼いだ」と世界に誇示した。中国は今や、ウイルス流出の責任国としてではなく、いち早く危機を克服し、世界に模範を示した「救世主」として国際社会に臨もうとしているようだ。

 だが、中国のウイルス「抑え込み」は、徹底的な国民の監視や行動制限、情報隠蔽(いんぺい)の上に成り立っている可能性が指摘されている。
 トランプ米政権は当初、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と呼び、中国の責任を徹底的に追及する姿勢を示していた。
 しかし、この呼称は米国内や日本を含む国々のメディア、さらには国連特別報告者から「アジア系米国人に対する差別を助長する」という批判を浴び、トランプ大統領は3月26日、習近平主席と電話会談して以降、この呼称の使用を中止した。
 さらにツイッターには「習主席とは素晴らしい関係だ」などと中国を賞賛する言葉も書き込んだ。米国も、現時点での中国との直接的な対立は避けたということだろう。
 今や国際機関も中国の影響下にある。トランプ大統領は、WHО(世界保健機関)が中国寄りだとして「資金拠出の停止を検討する」と表明した。しかし、WHОのテドロス事務局長は「われわれは全ての国に寄り添っている」と即座に反論した。
 現在の西欧諸国に、中国の責任を追及する余裕などないのも事実だ。

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