【視点】県議選〝与党勝利〟と言い切れず

 ましてや、2021年3月には現行の沖縄振興計画が期限切れとなり、新たな振興計画の策定に向け、国と県の意思疎通が最も求められる時期にさしかかっている。
 県内11市のうち、那覇、南城、豊見城、糸満を除く7市では安倍政権に近い保守系市長が在任し「チーム沖縄」と呼ばれている。全県的に「オール沖縄」勢力が優勢な中で、地域別の選挙に限って見ると、保守中道勢力が一定の勢力を維持していることが分かる。
 県民はいわば「基地反対」の総論と「経済優先」の各論を使い分けている。このことからも、沖縄の民意が辺野古反対の一色で染められているという見方は妥当とは思われない。「辺野古反対」を貫いてさえいれば次期知事選で玉城氏が再選されるという見方は、成り立ち難いのではないか。玉城知事としては、残りの任期、辺野古反対より経済再建に全力を挙げるべき局面に来ていると見るべきだ。
 だが、県議会で与党が依然として過半数を制している事実に変わりはなく、知事の県政運営が一気に不安定化するようなことも当面ないだろう。
 辺野古移設の是非に限れば公明党などを含め反対派が議席を占めており、移設問題で県が譲歩せざるを得なくなるような状況は、さらに考えにくい。ただそれだけに、新たな法廷闘争への突入など、国との対立がさらに先鋭化する恐れは否定できない。
 客観的に見れば、玉城県政は、最優先政策を辺野古移設問題から経済へシフトする必要性に迫られている。一方で、辺野古移設問題で国と妥協し、振興策を獲得するという手法へ舵(かじ)を切ることもできない。その意味では、知事にとって苦しさが増すだけの選挙結果になったのかも知れない。

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