【視点】県議選〝与党勝利〟と言い切れず

 県議選は玉城デニー知事を支える与党勢力が過半数を維持したものの議席を減らし、自民党などの野党勢力が議席を伸ばした。玉城知事も「厳しい結果」との受け止めを示すなど、単純に〝与党勝利〟とは言い切れない結果になった。玉城知事としては県議選に圧勝し、次期知事選に弾みをつける戦略だったが、状況はかえって混とんとしてきたと見るべきだろう。
 県内は米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する「オール沖縄」と呼ばれる勢力が国政や県政の主要選挙で連勝しており、今県議選もその延長線上にある。その意味では「オール沖縄」勢力の優位は覆っておらず、知事は「(辺野古)反対であるという民意は揺らいでいない」と強調する。
 だが選挙結果を見ると、辺野古反対は依然多数だとしても、有権者が米軍基地問題以外の争点に軸足を移しつつある可能性も見えてくる。具体的には、新型コロナウイルスの影響で一気に厳しさを増した経済の立て直しだ。
 沖縄の屋台骨を支えてきた観光産業は3月以降、一気に失速。4月は有効求人倍率が3年7カ月ぶりに1倍を切り、雇用も含めて不透明感が増してきた。
 辺野古を巡って県政は国と対立し、沖縄振興予算は年々減額されている。だが観光が好調に推移している間は、経済不安や雇用不安もなく、一般県民のレベルで大きな不都合を感じることは少なかった。
 だが今後、経済の立て直しに向けて国との連携が重視される。国との対決路線を続けるままでいいのか。自民党の伸長の背景には、県民のそうした不安感があるのかも知れない。

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