石垣市議会(平良秀之議長)は22日の6月定例会最終本会議で、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決した。字名変更は10月1日から効力を生じる。野党は「台湾との友好関係がおかしくなる」(長浜信夫氏)などと周辺諸国への配慮を理由に反対した。与党は尖閣諸島周辺海域で中国公船が領海侵入を繰り返している現状を挙げ「現実を直視してほしい。周辺諸国から、とやかく言われる筋合いではない」(仲間均氏)と指摘した。中山義隆市長は可決後、報道陣の取材に「政治的な意図はない。行政手続きの範疇(はんちゅう)だ」と述べた。
採決では、野党が次々と反対討論。「日本は、クロマグロの漁獲枠を台湾から譲ってもらっている。漁業関係者は『これ以上波風を立てないで』と言っている」(宮良操氏)、「市民がないがしろにされている。政府与党関係者の希望に沿う字名変更だ」(内原英聡氏)、「台湾の皆さんが遺憾の意を表している。デメリットが大き過ぎる」(大濱明彦氏)などと訴えた。「行政事務の問題というのはこちらの考え方。先方はそう受け止めていない」(新垣重雄氏)という声もあった。
与党は賛成討論で「国の主権に関わることは、一切他国に配慮する必要はない。漁業者も心配ないと言っている」(長山家康氏)、「日本は遠慮せせず意見を言えるようにしてほしい」(友寄永三氏)と主張。公明の石垣達也氏は、字名変更に賛成した上で「トラブルの火種にしたり、国境問題に絡めてはいけない」と注文をつけた。
採決では与党全員と野党の砂川利勝氏の13人が賛成、他の野党8人が反対した。
石垣市の動きを受け、台湾ではこれまでに、北東部の宜蘭県の議会が尖閣諸島の台湾名「釣魚台」を「頭城釣魚台」と変更することを県政府に求める議案を可決した。
字名変更について菅義偉官房長官は8日、「市町村が議会の議決を得て行うべき事項」、玉城デニー知事は12日、「市町村の自治事務なので、石垣市において決定される」とそれぞれ述べ、市の決定を尊重する意向を示している。