石垣島天文台元所長の宮地竹史氏(71)の著書『四季の星座空ガイド 沖縄の美(ちゅ)ら星』の出版を受け、29日、出版祝賀会(主催・同実行委員会)が市内ホテルで開催された。関係者ら約82人が来場し、出版を祝うとともに、同書が新たな沖縄、八重山の魅力を発信するきっかけになると期待した。
宮地氏はあいさつで「八重山に来て驚いたのは、こんなに文化を大事にしているのか、ということ。私は報告者で、(同書は)皆さんの財産を紹介しただけ。皆さんが素晴らしいから本ができた」と強調。
同書のコンセプトとして①親が子どもに語れる内容②星空ガイドの教科書―などがあったと明かし、「本を読んで島に住んでいること、沖縄県人であることに誇りを持っていただけたら。皆さんが八重山、沖縄の星空の語り部になっていただければ」と期待した。
祝辞で、石垣市観光交流協会会長の中山義隆市長は宮地氏の市への貢献に感謝し、「宇宙や天文学の入門書としてだけでなく、八重山の民話や古謡の奥深さを知れる貴重な作品。市が世界に誇る星空資源の貴重さ、素晴らしさを知るきっかけになることを」と願った。
編集・印刷を行なった新星出版の城間毅氏は「八重山の本であり、島々の本。新しい沖縄を発見する本になった」と反響の大きさを紹介。「島々の星文化をできるだけ盛り込むよう宮地先生がおっしゃった。地元の人が気づかなかったことを拾い上げて本という形にできた」として、増刷への意欲を示した。
同会で宮地氏は「八重山の美ら星」と題した記念講演も行なった。
講演では、見れば長生きするとの伝承もあるカノープス(南極老人星)に触れ、「沖縄の人が長生きなのはカノープスがいつも見えているからではないか」などと冗談を交え、同書で触れた星座、惑星、民話の一部を紹介。「星にまつわる文化、美しい星空が見える八重山。もっと大事にしてほしい」と呼び掛けた。
大島佐喜子・竹富町観光協会副会長と亀井保信・玻座間民俗芸能保存会会長の祝辞、友人代表の大塚勝久さんのあいさつ、ミス八重山からの花束の贈呈もあった。