今度は「学問の自由」だ。野党と一部メディア・文化人らは本当に不自由である◆日本学術会議が推薦した新会員候補者6人を首相が任命しなかったことで「学問の自由ガー」と騒いでいる。そも単なる国家公務員人事である。そも同会議の目的は行政や産業等に科学を反映、浸透させることである。そも科学者を〝代表〟する組織が軍事研究を禁ずる自体、学問の自由に反する◆政府機関のため経費は税金から10億円という。要は独立・民営化を拒む、既得権益ではないのか。ところが自由を叫ぶ人々は〝安倍叩き〟を継承し、的外れな政権批判にのみ、血道を上げる。しかも「言論の自由の危機」を憂えていた人々が、である◆「常に無欲にして以て其の妙を観、常に有欲にして以て其の徼(きょう)を観る」(老子上篇1)。知らないと知るからこそ知りたいと希い考える。その欲求がある(有欲)からこそ現象世界(徼)を捉えられる。しかし欲望をほしいままにすれば、現象はおろか奥底の真実(妙)からも遠ざかる―。欲望に囚われた者は、己の無知を知らず、現象さえ捉えられない◆自由という概念に支配されることで逆に不自由になる。権力への印象操作が逆に権力を高める。彼らはこの蟻地獄から、いつ抜け出せるのだろうか。 (S)