「石垣市はヤギでも飼ってるのか」―。自治基本条例策定審議会の議事録を情報公開するよう求めた「住民投票を求める住民の会」が怒りの声を上げている。審議会は2008年、有識者や各団体の代表などで発足。翌年まで11回にわたり、県内初の制定となる条例の内容を論議したのだが、市は議事録が「存在しない」と回答したのだ◆審議会設置条例では「議事は、市の広報誌、ホームページ等で広く市民に公表する」と明記されている。にもかかわらず、議事録は作成されなかったのか、作成されたが破棄されたのか、ヤギが食べたのか◆市の担当者に確認したところ「市役所でヤギは飼っていない」と回答した。―というのは冗談だが、当時の担当者は「議事録を作成した記憶がない」と証言したという。09年の自治基本条例制定当初から、市職員でさえ条例の精神を十分に理解していなかったことがうかがえる◆条例では住民投票に関する規定が不十分で、市民が一定の署名数を集めたにもかかわらず、住民投票が実現できなかった経緯もある。条文が事実上「死文化」していないか。深刻な反省が必要だ◆現在、条例の見直し論議が進む。従来の見直しは条文の付け足しが主だったが、今回は抜本的な見直しも視野に入れるべきだ。 (N)