【視点】慰霊の日 厳しさ増す国際環境

ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序が大きく揺らぐ中、沖縄は戦後77年の「慰霊の日」を迎えた。戦火に倒れた先人たちが今、再び何かを語ることができるなら、それは「平和な沖縄を永久に」という願いだろう。横暴な振る舞いを繰り返す他国にどう立ち向かい、平和を次世代へつないでいくのか。沖縄に突き付けられた課題は重い。
悲惨な沖縄戦を経験した県民は毎年「慰霊の日」とその前後、鎮魂への思いを新たにしてきた。共通の願いは「戦争を二度と繰り返さない」「故郷を再び戦場にしない」ことだった。
だが、沖縄を取り巻く国際環境は不穏の度を増す一方だ。平和への願いを脅かす最大の要因は隣の軍事超大国、中国の一方的な行動である。
今月には沖縄周辺で空母「遼寧」を含む艦隊が長期間航行し、石垣島北方海域などで戦闘機やヘリの発着艦訓練を繰り返した。石垣市の尖閣諸島周辺では中国政府が派遣した船舶が常駐し、日本の漁船を威嚇している。
中国はさらに3隻目の空母を進水させ、習近平国家主席自らが「福建」と命名した。福建省の対岸には台湾があり、台湾侵攻への意図を強くにじませた名称という見方が強い。
中国は尖閣諸島を台湾の一部とみなしており、与那国島も台湾に近接している。沖縄でも「台湾有事」や「尖閣有事」の可能性が現実味を帯びて語られ始めた。
台湾有事の際、中国が日本の軍事的介入を阻止するため、空港、港湾などのインフラが整った石垣島などの周辺離島に同時侵攻するシナリオもささやかれている。石垣市、与那国町の6月議会では台湾有事への対応、住民避難のあり方もテーマの一つになった。
沖縄県も21日の県議会で、台湾有事などを想定した住民避難の図上訓練を年度末に行うと明らかにした。住民も危機の高まりを肌で感じ始めている。
ロシアのウクライナ侵攻で浮き彫りになったのは、国際秩序の維持に責任を持つ国連安全保障理事国のような大国でも、独裁者の胸一つで容易に戦争を起こすという事実だ。台湾や尖閣周辺海の緊張状態も、もとをたどれば中国共産党政権の際限ない領土的野心に端を発する。
中国共産党政権の「中華民族の偉大な復興」という誇大妄想的なスローガンに、台湾や沖縄の人たちが否応なしに振り回され、平和な日常が壊されていく。県民は、この不条理もまた現実として直視する必要がある。
現在、日本の平和は日米安全保障条約で米国が担保しているが、中国の強大化が進む中、米国頼みの防衛政策がいつまで続けられるのか、改めて問い直す必要がある。参院選でも取り沙汰されている防衛費のGDP比2%への引き上げは、早急に取り組むべき課題だ。

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