【視点】衆院解散 遠くない時期か

 安倍晋三前首相は16日、東京都内で開かれたパーティに出席し、衆院・解散総選挙の時期について「今の支持率を見ると、私が首相なら強い誘惑に駆られる」と述べた。産経新聞が報じた。
 共同通信が14、15日に実施した全国電話世論調査では、菅義偉内閣の支持率は63・0%。発足当初に比べ、日本学術会議の問題などで下がったと言われるが、依然、高水準を維持している。解散はそう遠くない時期ではないか。
 年内の解散は見送られる公算が強いが、早ければ1月の衆院選を予想する声もある。県内でも選挙をにらんだ動きが加速している。
 社民党は14日の臨時党大会で、立憲民主党との合流を論議し、4人の国会議員のうち、福島瑞穂党首を除く3人が立民に加わる見通しになった。
 社民は全国で唯一、沖縄2区で小選挙区の議席を保持している。現職の照屋寛徳氏は党大会で「旧社会党の先輩たちが築いた遺産を全て食いつぶした」と福島党首の党運営を非難した。ウチナーグチで「根性が悪い」という意味の言葉も浴びせた。
 社民党と言えば、旧社会党時代、自民党と共に「55年体制」と呼ばれる政治体制を築き、長く日本政治に重きをなしてきた存在だ。それが解党寸前の状況に陥り、党大会では罵声が飛び交うという現状は慨嘆を禁じ得ない。長年、非現実的な政策を推進してきたツケということだろう。
 社民は沖縄2区で照屋氏の後任に北中城村長の新垣邦男村長を擁立するが、社民県連は立憲に合流する方針を固めており、新垣氏は立憲からの立候補になるのだろうか。
 沖縄1区を巡っては、経済界が維新を除名された下地幹郎氏の自民復党を求めている。だが自民県連は15日、復党を認めない方針を決め、次期衆院選で下地氏が自民党から立候補する可能性は低くなった。
 現在、1区は共産の赤嶺政賢氏が議席を持っており、自民の國場幸之助氏と下地氏は比例で復活当選している。経済界には、前回衆院選で保守・中道勢力の國場氏と下地氏が競合し、共倒れになったとの反省がある。
 自民は次期衆院選に向け、2回以上連続して小選挙区で落選し、比例で復活した議員が選挙区と比例で重複立候補することを認めない方針を打ち出した。沖縄では國場氏と2区の宮崎政久氏が該当する。
 次期衆院選で下地氏が無所属のまま1区に立候補し、保守・中道票が割れた場合、前回の二の舞になり、下地、國場氏の比例復活もないという状況を危惧する声もある。復党願いを拒絶されたことを受け、下地氏の対応が注目されそうだ。
 3区は昨年の補選で初当選した現職の屋良朝博氏と、落選した自民の島尻安伊子元沖縄担当相が再び戦う。4区は唯一自民の議席を死守した現職の西銘恒三郎氏が元那覇市議会議長の金城徹氏の挑戦を受ける。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を軸に結集した「オール沖縄」勢力と保守・中道勢力の激突という構図は、全4選挙区で前回衆院選と変わらない。
 ただ前回衆院選に比べ、移設工事の進展、コロナ禍、沖縄経済の苦境、菅政権の発足などといった情勢の変化がある。有権者の意識にも影響はあるだろうか。

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