石垣市(中山義隆市長)は、宜野湾市(松川正則市長)、名護市(渡具知武豊市長)と共同でAI(人工知能)とロボットを活用した申請業務などの効率化に向けた実証事業を12月から開始する。3市長は24日午後オンライン上で、同ツール利用による連携を宣言する「沖縄自治体クラウド・デジタルファースト共同宣言文」に署名。実証事業は来年3月まで行われ、来年度以降の実用化が検討される。
3市は2017年からシステムの共同利用による業務効率化と市民サービスの向上を目的に連携を開始。今回の取り組みはその第一弾となる。
12月から始まる実証実験では、各市にAI―OCR(人工知能を取り入れた文字認識ツール)とRPA(人がパソコンで行う一連の作業を自動化するソフト)を導入。同一システムを利用する6業務のうち、それぞれが2業務を担当してその効果を検証する。
同ツールによって期待されるのは、「申請書類等のスムーズな処理」による職員の負担軽減と市民の利便性向上。新型コロナウイルスの影響により密を避ける行動が促され、対面による行政手続きの負担が懸念される中、市のデジタル化対応の遅れが浮き彫りになったことが背景にある。
来年度以降は6業務の検証結果を基に、効果的だと判断された業務内でツールの実用を検討。デジタルによる社会全体の効率化を目指し、効果により生まれたリソース(職員の時間的余裕など)は地域貢献など市民サービスの向上に振り向けられる。
中山市長は、「人口減少や働き方改革、コロナとの共存などのあらゆる課題解決の決め手になるのがデジタル技術。市役所のオンライン導入により、『来ない・書かせない・待たせない』手続きが可能となる」と期待した。
松川市長は「国のデジタル庁設置などに伴い、県全体でスマートシティ(先進的技術により機能やサービスが効率化された都市)を目指した連携を図っていきたい」、渡具知市長は「市役所関係者のみならず、各機関や企業と協力しながら情報化の推進に積極的に取り組む」と話した。
同日は、2つのシステムの業務委託を受ける沖縄行政システム株式会社の土原陸男課長が、導入後のイメージを動画で解説。「現状届申請」を例に、同システム導入による行政と市民の負担削減について説明した。
同事業の費用は452万5千円で、県の広域連携支援事業交付金を活用した。