来年1月末まで予定されている政府の観光支援策「GO TОトラベル」の延長を求める声が八重山の観光事業者からも上がっている。10月から「GО TО」の対象に東京都が追加されたことで、八重山でも入域観光客数の減少幅が縮小しており、観光事業者は「助け船になっている」と強調する。「GО TО」の恩恵を受け続けるには、観光客と住民の双方で感染防止対策を徹底し、感染状況の悪化を食い止められるかがカギになる。
石垣市によると、10月の入域観光客数は前年同月比約54%の7万1570人。前年同月比約36%に落ち込んだ9月に比べ、回復傾向が見られる。入域観光客数が前年同月比で5割以上の水準に回復したのは3月以来、7カ月ぶり。
観光客が増えたことで、観光関連業を中心に雇用も復調の兆しが見え始めた。八重山公共職業安定所によると、10月の有効求人倍率は0・89倍で、前月比で0・18ポイント上昇した。
八重山ビジターズビューロー(YVB)によると、10月以降、観光客の増加でホテルによっては客室稼働率が前年並みか、前年を上回るようになった。
ただ「GO TО」終了後の来年2月以降は予約が止まっており、キャンペーンが延長されなかった場合、観光業界が再びダメージを受ける事態が懸念される。
レストランシアター「あじ彩石垣島」(大川)の浦崎肇社長は、前年比で売り上げは大きく落ち込んでいるとした上で「八重山観光はマーケットの5割近くが東京。『GO TО』で東京の観光客が動き出した。観光業者にとっては助け船になっている」と指摘する。
同店はコロナ禍の当初、解雇などを防ぐため国から支給される雇用調整助成金を受給していたが「GO TО」効果を受け、10月には4人を新規雇用した。今後、さらに雇用を拡大する予定だという。
ただ、感染防止策として利用者のソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を取る観点から、受け入れを定員の5割程度に絞っている。観光事業者の苦境は続く。
YVBの金城徹専務理事は「(観光客が県民に感染させる)『移入例』のパーセンテージは低いと県も発表している。感染対策にしっかり取り組みながら『GO TО』を継続し、経済を回すことが重要だ」と期待した。
全国的に新型コロナ感染が拡大しているが、県は11月30日、「GO TО」適用対象からの除外を求めない方針を決め、観光客に感染防止対策の徹底を呼び掛けた。