12月1日の世界エイズデーにちなみ、八重山農林高等学校(山城聡校長)は2日、「性と生を考える」をテーマに、県立八重山病院感染症内科・総合内科医師の亀谷航平医師を講師としたオンライン講演会を開き、全校生徒が視聴した。
SNSの普及などにより誤った性の情報が氾濫(はんらん)する中、八重山地区では10代の妊娠・出産が全国と比べて高い傾向にある。
生徒に正しい知識を学んでもらおうと、八重山地区の各高校では毎年講師を招いて講演会を開催しているが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン講演会になった。
講演で亀谷医師は「性感染症と望まない妊娠」について取り上げ、正しい知識を持つことは自分と周りを守ることにつながることを強調。「予防をしない人は、性行為をする資格が全くない」と生徒たちに何度も訴えた。
性感染症の一つでもあるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)を例に、感染率が高い性的マイノリティ(LGBTQなどの性的少数者)の人々に対するスティグマ(社会的偏見)について解説。セクシュアリティ(性自認)は、他の誰でもなくその人自身が決めることだと話し、生徒らは理解を深めた。
平良鈴音さん(3年)は、「避妊をすることの大切さと意味を改めて理解することができた。一人ひとりが気をつけないといけない」。豊川太雅さん(同)は、「性的マイノリティへの差別が起こるのは僕らが無知であることが原因。正しい性知識を持つように努力する」と講演を振り返った。
性について考える講演は同校のほか、八重山高校、八重山商工、八重山特別支援学校で毎年行われている。
同校保健主事の甲斐田美根子教諭は、「性は誰もが向き合うものだから、専門家からの指導が必ず必要。生徒がこれから社会に出ていく上で、正しい方向へ導く判断材料になってくれる」と話した。
4高の保育従事や養護教諭、教育相談関係者らは、毎年年度始めに講演内容や講師選定を相談。ことしは、夏に同高1年生を対象に行われた亀谷医師の「思春期教室」の授業がきっかけで依頼を決定したという。