会うたびに「おれのこと好きか」「あたしのこと愛しているの」と気持ちを確かめ合うカップル。ほほえましいが、この男女を日本と米国に置き換えると「気持ち悪い」と指摘するのは元在沖米海兵隊幹部のロバート・エルドリッヂ氏だ。本紙新年号での発言である◆米国の政権が交代するたび、日本政府は、日米安全保障条約で定められた米国の防衛義務が「尖閣諸島にも適用される」との確認を求める。中国が尖閣諸島を奪おうとすれば、世界最強の米国が駆け付ける、という約束は心強い◆だが、そんなことは自明の理であり「何度も確認する必要はない」とエルドリッヂ氏。むしろ「日本が安心できないのは、日米の間に何かがあるからではないか」という疑心暗鬼を招きかねないと批判する◆中国は内心、このやり取りをどう見ているのだろう。自国の領土を保全するのに、いちいち米国の保証を求める日本の姿勢こそ「くみしやすい」と映るのではないか。泰然自若と「自分の領土は自分で」と言える日本を見る日は、ついにないのだろうか◆尖閣を守ろうとする日本政府の外交努力は買うし、米国の言質があれば、八重山住民としては確かに安心する。だが個人的には、このニュースを聞くたび、一種の喪失感も胸をよぎる。 (N)