【視点】宮古島の感染拡大が深刻に

 宮古島市で新型コロナウイルス感染が急拡大している。離島は医療体制が脆弱で、感染者の急増は医療崩壊の危機に直結する。同じ離島の八重山住民も大変心配しており、一刻も早く事態が改善するよう祈らずにはいられない。
 感染者数は26日が34人、27日が33人で、26日は宮古島の感染者数だけで県全体の4割を占めた。26日までの直近1週間の新規感染者数は、人口1人当たりで東京の約3倍に達した。全国最悪のペースと言っても過言ではない。
 介護施設でクラスター(感染者集団)が発生したことや、小中学校で児童生徒の感染が相次いでいることなどが要因という。感染症対応病床数は県立宮古病院47床、民間医療機関10床だが、感染者急増で逼迫(ひっぱく)しており、県や市は今後、病床数や宿泊療養施設の拡充を急ぐ。
 宮古病院は26日から一般外来を休止しており、通常医療にも影響が出始めた。他の県立病院から看護師の派遣を受け、辛うじて医療を機能させている現状だ。
 座喜味一幸市長は記者会見で「極めて危機的な状況」と述べ、27日から当面の間、公共施設の使用を禁止する方針を明らかにした。
 何が感染拡大の要因であるかは必ずしも明らかではない。だが宮古島市の状況は、人と人との距離が近い離島で、感染防止の意識にいささかの緩みがあれば、予想をはるかに上回るペースでウイルスの蔓延が進むことを示している。
 石垣市では昨年12月から感染者の急増が始まり、市が不要不急の外出を呼び掛けたり、医療関係者が医療崩壊の危機を訴えたりして、感染予防意識の引き締めを図った。
 ここへ来て感染拡大のペースは多少落ち着いた感もあるが、それでも途切れることなく感染者が出続けている。市中感染が疑われるケースも根絶できていない。ここで気を緩めれば、一気に宮古島市のような状況になりかねないと言える。
 社会生活を続けていく中で、マスク着用や「3密」回避などの感染予防策は、今後とも常に念頭に置く必要がある。
 新型コロナ感染者が沖縄で初めて確認されたのは昨年2月14日で、もうすぐ1年になる。だが現在、沖縄は3回目の緊急事態宣言下にあり、27日には131人の感染が確認されるなど、疫病は猛威を振るい続けている。
 新型コロナ感染のリスクが常に隣り合わせであることを意識する「ウィズコロナ」の生活が長期化することは確実となった。その上で経済と感染防止の両立を目指さなくてはならないが、感染者数を一定数以下に抑えることが絶対条件だ。一定数以下とは、医療崩壊を招かない水準ということだ。しかし、宮古島市はもちろんだが、沖縄全体の現状は、その水準をクリアしているとは到底言えない。
 経済と感染防止が両立できなければ、県民生活が破綻する。八重山でも多数の観光関連事業所が休業や営業時間短縮に追い込まれている状況で、いつまで持つのかも分からない。気の緩みを一掃し、医療が健全に機能する状況を取り戻さなくてはならない。
 政府のメッセージの弱さや国会議員の深夜の会食などがメディアのやり玉に挙がっている。それが問題なのは確かだが、数人の政治家の言動より、緊急事態宣言下、今なお全国で連日、数千人の新規感染者が出ている現状のほうがよほど深刻だ。政治家というより、国民一人ひとりの意識に甘えがあることを示しているのではないか。

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