(有)石垣コミュニティーエフエム(東太田政三代表取締役)と石垣市が川平地区にある市有地の賃貸借契約を結んだことが25日までに分かった。同社はFM放送の難聴地域解消に向け、近く中継局の鉄塔建設に着手する。周辺住民から「民家にあまりにも近い」などと反発の声が上がっているが、同社は、鉄塔建設の手続きに「法的な問題はない」と理解を求めている。
市有地の賃貸借契約は8日締結された。同社は鉄塔を川平と伊原間の市有地に建設する予定で、川平の市有地は面積597平方㍍。同社の委託業者が複数の候補地から選定した。建設予定地の鉄塔は高さ約24㍍。
予定地変更を求める住民の野底紀子さんによると、予定地は野底さんの自宅敷地から10㍍以内の距離。野底さんは「台風で鉄塔が倒壊したり、部品が飛んでくる恐れはないのか。建設に反対ではないが、予定地を変更してほしい」と訴えた。
同様に予定地と自宅敷地が隣接する円谷浩子さんは「電磁波がインターネットやテレビに障害を起こす可能性もある。健康への影響も調査されていない。住民の精神的苦痛は大きく、ラジオ局は丁寧に説明すべきだ」と不安を隠さない。
円谷さんらは昨年10月26日、市に予定地変更を求める住民の署名132人分を提出した。川平公民館は鉄塔建設の同意書を市に提出していたが、撤回した。川平公民館の高嶺守館長は取材に、予定地変更を求める考えを示した。
東太田代表取締役は取材に「鉄塔の強度も電磁波も国の基準に従い、しっかりと建設計画を進めている。(予定地変更の要求には)困惑している」と話す。
市契約管財課によると、市は昨年8月14日の公有財産検討委員会で、市有地賃貸を決定した。川平公民館の同意はその後撤回されたが、同課は、鉄塔建設に法的問題はないとの認識を示している。
伊原間の市有地62平方㍍の賃貸借契約も同時に締結されており、約14㍍の鉄塔が建設される。伊原間公民館の根間建有館長は「難聴地域解消のため、早く着工してほしい。川平の問題が円満に解決することを望みたい」と期待した。