八重山南方沖で地震が起こり、津波で大きな被害が出たと想定し、県、八重山3市町、八重山署は27日、石垣市総合体育館で検視・遺体収容施設運営訓練を行った。県総合防災訓練の一環で、市町職員や警察、自衛官など約50人が参加。遺体発見から収容、検視、遺族受け付け、身元確認、火葬許可の発行までの手続きを確認した。
遺体に見立てた等身大の人形を使用。自衛官が大浜海岸で発見し体育館に搬送後、県警に引き継いだ。県警は遺体の泥を洗い流し、検視を実施。個人の特徴や遺品の有無などを記録した。
遺族役が体育館を訪れ、職員が事情を聞いた。警察の検視結果から得られた遺体情報とヒアリング結果を照合後、遺族が遺体の身元を確認。遺体の引き取り、火葬場への移動、火葬許可の発行まで一連の流れを実演した。
東日本大震災の発生後、国は全国規模で地震の被害想定を見直している。県も2013年度に被害調査を実施。八重山諸島の南方沖で大地震が発生した場合、津波が石垣島や離島などに押し寄せ、合計約1900人が死亡する可能性があると推定している。
県総合防災訓練は今年、八重山地域を対象に実施し、八重山南方沖地震への対応を再確認する。10月には被災者救出や治療など20項目以上の状況を想定した実働訓練、11月には支援物資の輸送訓練をそれぞれ予定している。
県地域防災計画では、遺体収容施設の設置や遺体の保管管理は市町村が行うとされている。県知事公室の溜政仁公室長は訓練後のあいさつで「ほとんどの市町村は、収容施設の具体的な場所を指定していない。早期検討をお願いする」と要望した。