八重山防衛協会が昨年、八重山地区への海上自衛隊誘致を防衛省に要請した。海自配備にはどのような意義があるのか。八重山日報社は17日までに、元在沖米海兵隊政務外交部次長のロバート・エルドリッヂ氏に見解を聞いた。
昨年、八重山防衛協会の三木会長から初めてこの話を聞き、すごく新鮮に感じた。これまでは陸上自衛隊配備の話題が中心だったが、逆に「なぜ今まで、海自の必要性が指摘されてこなかったのだろう」と思った。
日本は海洋国家であり、南西諸島は広い海域にまたがっている。確かに海自のプレゼンス(存在)は石垣で重要だ。兵力や予算の問題があるだろうので、配備ができるまで、例えば、米、豪、印、英、仏、独といった同盟国、友好国の海軍との連携で交代で寄港し、抑止に貢献できる。
海自の存在は中国に対する大きな抑止力になる。尖閣諸島周辺を航行している中国海警局の船は中国公船と呼ばれているが、実際には海軍的な能力を持ち、明らかに軍艦だ。これに対抗するため、本来、尖閣諸島周辺で海自も本格的なプレゼンスを示すべきなのだ。
尖閣諸島問題に関しては、日本は灯台、避難港、ヘリポートの建設、公務員の常駐など、実効支配の強化に取り組む必要がある。これは軍事力を使わなくても、行政の対応で可能なことだ。海自の石垣配備が並行してできれば、相乗効果になる。
日本が無策のままであれば、中国の行動はどんどんエスカレートし、ついには軍事力で制圧を試みるようになる。そうなると、日本も軍事力での対応を迫られる。今、行政的に対応するのか、将来、軍事的に対応するのかということだ。将来の戦争を避けるためにも、今できることをやるべきだ。(談)
プロフィール
ロバート・エリドリッヂ氏 1968年、米ニュージャージー州出身。90年来日。大阪大大学院准教授、在沖米海兵隊政務外交部次長などを経て現在、エルドリッヂ研究所所長、日本戦略研究フォーラム上席研究員。