新石垣市立八重山博物館(仮称)建設に向け、石垣市が2021年度に有識者の検討会議を設置する方針であることが18日分かった。検討会議の提言を受け、22年度以降に策定する基本計画に反映させる。市教育委員会が設置した部内検討会議は報告書を取りまとめたが、開館の年度など、具体的なスケジュールは明示していない。
市教委定例会がこの日開かれ、八重山博物館の砂川栄秀館長が有識者検討会議設置と部内検討会議の報告書案概要を説明した。
有識者は5人で、5回の会合を想定しており、21年度予算案に開催費用約170万円を盛り込む。市教委が部内検討会議の報告書を取りまとめたあと、市長部局との調整で設置が決まった。
部内検討会議は天久朝市教育部長を座長に、市職員9人で構成。昨年7月から9月まで4回開かれた。
報告書案概要によると、新博物館建設に当たっては、15年に策定された新博物館建設基本構想を引き継ぐ。
スケジュール案によると21年度に基本計画を策定し、財源検討、基本設計、実施設計、工事と進むが、22年度以降は具体的な年度を明示していない。開館準備に入る年度は、最短で基本計画策定から7年目としている。
ただ21年度は有識者会議が設置されることになったため、スケジュールはずれ込むことになる。
基本計画策定作業は博物館内に推進体制を整備して取り組むが、基本設計の作業に入って以降は新博物館建設推進室を設置し、全庁体制を取る。ただ同博物館は「市教委内部の案であり、市長の判断で変更も有り得る」としている。
報告書案概要では施設整備について、事業費を抑制するため、華美な設計とせず、機能を重視し、専用室以外は多目的利用が可能な設計とする方針を示した。
財源は補助率が80%の沖縄振興特定事業費市町村補助金や、民間資本を活用したリース方式を候補に挙げた。基本計画策定時に、それぞれの財源の可能性調査を実施する。
建設位置は基本構想で「石垣島南部」とされており、その方針を継承する。
報告書案概要の説明を受けた教育委員からは「博物館が建設できるよう強く願っている」という声が出た。
現博物館は老朽化と狭隘化が進んでいるが、新博物館建設事業は基本構想策定以降、財源確保ができず進展していない。市民や市議会から早期建設を望む声が強まったことを受け、市教委は21年度以降の具体的な事業進展を図るため、部内検討会議を設置した。