石垣市の嵩田林道で、県有地の森林が何者かによって無断伐採され、周辺で進められている陸上自衛隊配備工事が見下ろせるようになっていることが12日までに分かった。2年前にも同じ場所で無断伐採が発覚しており、周辺には伐採を制止する看板もあったが、無視して伐採を進めたものと見られる。「配備反対派が工事の監視目的で伐採したのではないか」との指摘が出ている。
現場は八重山農林高校の演習林となっている県有地で、ガードレールの外側にある。同校によると、学校関係者が伐採したとの報告はなく、同校が定期的に除草や枝打ちを行っている場所とも異なる。
伐採された森林の間からは眼下に陸自配備工事の進ちょく状況が確認できる。八重山日報の記者が3月に訪れた際は、木々の間からわずかに見える程度だった。
現在は視界をふさいでいた木々がほとんど取り払われ、配備予定地で用地造成が進む様子や、行き交う工事車両がはっきり見えるようになっている。何者かがガードレールを乗り越えて伐採したと見られる。
2019年5月にも同じ場所での無断伐採が発覚したため、同校は伐採をやめるよう求める看板を周辺の木々にくくりつけて注意喚起した。だが今回の伐採は、看板のすぐ近くで進められていた。石垣市によると、この場所での無断伐採は森林法に違反する可能性がある。
11日、石垣市議会の与党議員5人が住民の通報を受け、現場を視察。砥板芳行市議は「陸自駐屯地の工事が一望できるので、視界を確保するために伐採したと思う」と指摘した。
その上で「伐採をやめるよう求める看板のすぐ近くで立木が10カ所ほど伐採されており、非常に悪質だ。県は現場を確認し、しかるべき措置を取ってほしい」と求めた。