現行の沖縄振興開発計画は来年3月で期限切れになるため、現在、新たな計画策定に向けた作業が進んでいる。だが米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、県と国は厳しく対立しており、東京では沖縄に対する風当たりがかなり強いとされる。
自民党幹部から「沖縄振興計画の単純延長は有り得ない」という声が上がっているという報道もある。しかもコロナ禍が全国を覆っており、沖縄だけ特別扱いという雰囲気も薄い。新たな沖縄振興計画にスイッチするタイミングとしては、最悪に見える。
それだけに県は今まで以上の交渉能力を発揮し、自立経済の構築に向けて何が必要不可欠なのか、しっかりと国に訴えなくてはならない。
特に離島振興は米軍基地問題と並び、沖縄振興の一丁目一番地とも言える。沖縄振興というと、これまではどうしても本島中心という印象が否めなかったが、今後は八重山、宮古も本島と対等な立場で、国に対し必要な振興策を要求しなくてはならない。
それは離島という地理的条件に由来する移動のコスト高、コロナ禍でも浮き彫りになった医療体制の脆弱さといった課題が、本島以上に切実だからだ。しかも離島は沖縄の基幹産業である観光で重要な一翼を担い、沖縄経済のエンジンとさえ称される。
さらに尖閣諸島問題に象徴されるように、安全保障上の重要性も、離島は本島とほぼ同等になりつつある。離島の重要性は今後も増すばかりである。
従来のように「本島が主、離島が従」といった視点では不十分であり、新たな沖縄振興計画にも、離島振興の面から新たな視点が反映されるべきだろう。