【視点】3回目接種 体制づくり急務

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が国内で初確認された。感染再拡大に備え、政府や各自治体はワクチンの3回目接種に向けた体制づくりを急ぐ必要がある。
 オミクロン株は従来株に比べ、感染力が強まり、ワクチンが効きにくくなっている可能性が指摘されている。
 南アフリカで確認されたあと、英国、ドイツ、イタリアなど欧州で急拡大した。日本やイスラエルが全外国人の入国を禁止するなど、世界的に警戒感が高まっている。
 強力な変異株が登場すると、あっという間に従来株を駆逐して主流となり、悲惨な感染拡大を引き起こす。「デルタ株」の経験が記憶に新しい。オミクロン株が国内で拡大することがあれば「第6波」が到来する恐れは十分ある。
 「第5波」の収束にワクチンが大きな効果を発揮したことは間違いないが、ワクチンで作られた抗体は時間と共に減少するとされており、各国とも感染予防には3回目接種が必要との認識を示している。
 日本政府は新型コロナワクチンの3回目接種の対象を、2回目接種からおおむね8カ月以上経過した18歳以上とした。
 この方針には疑問の声が出ている。石垣市の中山義隆市長は11月29日、離島の医療体制が脆弱であることなどを理由に、6カ月間隔で接種できるよう県、国に要請すると表明した。
 海外では5カ月や6カ月間隔とする国もあり、中山市長は「海外と同じように、6カ月間隔の基準でワクチンを打っていきたい」と述べた。
 大阪府の吉村洋文知事は30日「オミクロン株はいつ急拡大するかわからない」「なぜ8カ月待たないといけないのか」と述べ、国に基準の見直しを求める考えを強調した。
 石垣市は6カ月間隔での接種を前提として1~2月ごろから高齢者接種、3月から一般接種というスケジュールを想定しているが、国が8カ月間隔の厳守を求めれば、接種時期は想定より遅れる。
 8カ月間隔は一つの目安だとしても、国、県には準備が整った自治体から接種を認める柔軟姿勢が必要だ。
 八重山では新規感染者ゼロが1カ月続き、県内でも新規感染者数は連日、数人程度に減った。県全体のワクチン接種率は全国平均に比べ依然低迷しているが、大都市圏で感染者数が減ったことで状況が改善されたと見られる。
 感染ピーク時には、大都市圏と沖縄を往来する人の流れが最大のリスクになることが改めて浮き彫りになった。
 都市封鎖(ロックダウン)は法的に不可能であるとされているが、大都市圏に引きずられて沖縄でも感染者数が増える従来のパターンにどう歯止めを掛けるか。感染状況が落ち着いている今だからこそ研究すべきだ。

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