【視点】新たな法廷闘争に強まる懸念

 防衛省は、米軍普天間飛行場の移設先である名護市辺野古沿岸部の軟弱地盤改良工事のため、県に設計変更を申請した。玉城デニー知事は「県民に十分な説明もないまま、埋め立て工事の手続きを一方的に進めることは到底納得できない」と述べ、不承認の方針を示唆した。国と県が新たな法廷闘争に突入する懸念が強まっている。
 玉城知事は辺野古移設反対を公約の一丁目一番地に位置付けて知事に当選した。どのような理由であれ、国の申請を承認することは政治生命にかかわる。従って玉城知事が申請を不承認にすることは、審査開始前から既に確実な情勢である。
 だが、知事が政治的な目的のために許認可権を振りかざすことは、法治国家の理念に抵触しかねない。

 移設先では、約70メートルより深い海底で「軟弱」の可能性を示すデータが出た「B27」と呼ばれる地点を巡り、地盤は非常に固いと主張する防衛省側と、独自に検証する専門家の見解が対立している。基地反対派は不承認とすべき理由として、軟弱地盤工事が技術的に困難だと主張しているが、国も反論することが予想され、法廷闘争に突入した場合、現時点で県の勝算が大きいとは言えない。
 移設を容認する宜野湾市の松川正則市長は「(県は審査を)引っ張るのではなく、早めに決断してほしい」と要望した。県が時間稼ぎのために審査を引き延ばす可能性を牽制(けんせい)した発言だと受け取れる。
 県が特定の事業を狙い撃ちして、審査開始前から不承認の姿勢を示すことも、審査の引き延ばしを図ることも、同様に違法の疑いを免れないのは当然だ。申請主体が国ではなく、私人だった場合を考えれば、違法性は一目瞭然である。県に求められるのは、政治的な先入観に基づかない公正な審査だ。

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