【視点】中国のワクチン外交と台湾、沖縄

 台湾も尖閣諸島の領有権を主張しており、親中だった国民党政権時代には日台の対立化が先鋭化したこともあるが、民進党政権では過激な対日批判を控えている。
 日台は領有権で争う代わりに、尖閣周辺での漁業活動に関する取り決めを結んだ。石垣市の漁業者から不満の声は出ているものの、領土を巡る争いも、ある程度は話し合いで解決できることを示している。
 だが、それは双方が平和的な志向を持った政権である場合に限るようだ。
 中国は日本政府の尖閣国有化直後から尖閣周辺海域への艦船派遣を開始。領海侵入を常態化させて着々と常駐化を進め、周辺に出漁する日本漁船の操業を繰り返し妨害してきた。今年2月には中国船が武力で漁船などを攻撃することを認める海警法を一方的に施行し、日本への威嚇を強めている。
 尖閣周辺の接続水域を航行する中国船の連続航行日数は、3日には昨年記録した過去最長と並ぶ111日になる。八重山諸島の一部である尖閣諸島を実力行使で奪おうとする野心が見え見えだ。
 玉城デニー知事は日本政府に対し、尖閣問題について「冷静かつ平和的な外交で解決してほしい」と要望したが、知事に注文されずとも、日本政府は一貫して冷静で平和的な姿勢を維持している。
 問題は着々と軍事力を増強し、県民の平和への願いなど「どこ吹く風」で攻撃性を強める中国政府の姿勢である。
 中国政府要人の言動を見ても、国際的な常識が通じる相手でないことは明らかだ。中国共産党が本質的に冷酷で非道な政権であることは疑う余地がない。中国に対しては、県民もそれ相応の覚悟を持って対峙すべきだ。
 石垣島では陸上自衛隊配備計画が進んでおり、日本政府が奄美大島から与那国島までの「防衛の空白地帯」解消に取り組んでいることは心強い。
 自衛隊や海上保安庁など、安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する土地利用法案が衆院を通過した。県民の安心・安全にとって必要な法律であり、沖縄からも早期成立を強く求めたい。

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