仲道のアコウ真っぷたつ 市文化財、住民ショック

V字型に裂けて倒れた「仲道の三番アコウ」=23日午後、石垣市平得

八重山の代表的叙情歌「とぅばらーま」のゆかりの地であり、石垣市指定文化財にも指定されている石垣市登野城の「仲道(なかどぅ)の三番アコウ」が23日午前、台風6号の強風にあおられ、真ん中からV字型に裂けて倒れているのが見つかった。長年アコウに見守られてきた地域住民はショックを受けている。
「三番アコウ」の名前で親しまれるオオバコウは樹高約13㍍、樹周5・4㍍、樹齢200年~250年とも言われ、登野城から平得、真栄里への道路の分岐点に位置し、古くから住民の道しるべとなっていた。アコウが作る木陰には農作業帰りや行商の人々の憩いの場としても親しまれてきたという。
近くにある平真小学校の児童を「アコウっ子」と呼ぶこともあり、地域のシンボルのような存在。毎年、石垣島の叙情歌の「とぅばらーま」大会前夜祭が開催される場所でもあり、歌碑も近くに建立されている。1991年に市の文化財に指定された。
かつて「三番アコウ」から西に100㍍の道路の分岐点に「二番アコウ」、さらに西に100㍍行ったところに「一番アコウ」があったがともに枯死し、現存しているのは三番アコウのみだった。
小学生の時から毎日アコウ樹の前を通って通学していた高校1年生の田盛獅朋(しほう)君(15)=真栄里=は木が倒れたと聞いて台風の中、現地に駆け付けた。「いつも当たり前にあって見守ってくれていた存在がなくなってしまったようで寂しい」と声を落とした。
地域住民の辻野ヒロ子さんには、知人からラインで次々と裂けたアコウの写真が送られてきた。「心配している。根元から倒れているわけではないようなので、可能なら何とか再生させてほしい。この樹がなくなることは想像できない」と胸を痛めた。

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