任期満了に伴う与那国町長選が8日投開票され、無所属の元町議会議長、糸数健一氏(67)が628票を獲得、自民公認の新人で前町議会議長の前西原武三氏(67)=公明推薦=、元町議の池間龍一氏(70)を破って初当選を果たした。前西原氏には122票差。「非自民町長」は1999年以来、22年ぶりとなる。
今選挙では4期16年務めた外間守吉町長が勇退を表明し、前西原氏を後継指名。糸数氏は外間氏に敗れた前回17年に続く出馬となった。保守層は前西原氏支持と糸数氏支持で分裂し、2人の争いにリベラル路線を掲げる池間氏が絡む構図になった。
糸数氏は保守票だけでなく、町政交代に期待する革新票も取り込み、保革共闘の選挙態勢を構築。糸数氏を支持する保革野党5人の町議を中心に、女性部や青年部がまとまり、若い世代の票の掘り起こしが奏功した。前回町長選の反省から、一枚岩の体制で選挙戦を優位に進めた。前西原氏は外間町政の実績継承をアピールし、自公連携をバネに支持拡大を図ったが、外間町政に対する長期政権批判のあおりを受け、一部の保守層の支持離れが進んだ。池間氏は支持が伸び悩んだ。
町長選では99年の故・尾辻吉兼氏以来、6期連続して自民党公認候補が当選してきたが、長期政権に終止符が打たれる。
与那国町は過疎化にどう歯止めを掛けるかや、観光産業、農水産業の振興などが大きな課題。糸数氏は雇用創出による経済のパイ拡大と町民の所得向上を掲げた。
町長選の期間中に島内で新型コロナウイルスが急拡大。各陣営とも有権者との接触を極力避け、遊説や電話作戦に力点を絞る異例の選挙戦を余儀なくされた。
投票率は91・03%で、前回町長選を1・9ポイント下回った。