【視点】今後の八重山の政局に大きな影響

 任期満了に伴う与那国町長選が8日投開票され、無所属新人で元町議会議長の糸数健一氏が自民公認、公明推薦の前町議会議長、前西原武三氏、元町議の池間龍一氏を破って初当選した。
 糸数氏は4期16年続いた外間守吉町政からの路線転換を訴えてきた。また1999年以来、町長選では自民党公認候補が6期連続で当選しており、糸数氏は22年ぶりの「非自民町長」となる。大きな政権交代の波が押し寄せることになる。
 与那国町は日本最西端の国境の島で、過疎化克服が最大の課題だ。人口減少に歯止めを掛けるため、外間町長は自衛隊誘致を決断し、誘致反対派との激しい攻防や住民投票を経て、16年に駐屯地開設を実現させた。
 町議だった糸数氏は誘致推進派の急先鋒だったが、政治手法の違いから外間氏とたもとを分かち、自衛隊配備後初となる17年の町長選で両者の直接対決に至った。この時は外間氏が609票を獲得し、28票の僅差で糸数氏を下している。
 今選挙も17年と同様、自衛隊配備の是非はもはや争点にならなかった。外間氏に批判的な保守支持層と、かつての誘致反対派だった革新支持層が糸数氏支持で大同団結し、保革共闘の選挙体制を構築した。
 糸数氏は前回町長選から47票増の628票を獲得した。しかし外間氏の後継候補である前西原氏は506票にとどまり、外間氏の得票から100票以上も減らした。支持基盤である保守層をつなぎ留められなかったことが得票からも表れている。池間氏は55票だった。
 糸数氏の勝因としては、保革共闘体制が奏功し、まんべんなく安定した得票を実現したこと、外間町政に対する長期政権批判の追い風があったことが考えられる。
 当選を決めた糸数氏は「選挙が終わったらノーサイドだ。広く分け隔てなく、町の発展と全町民のために、スピード感を持って頑張る」と語った。島社会だけに選挙のしこりも懸念されるが、リーダーシップを発揮して島内融和を図り、地域振興を進めてほしい。
 町議会でも与党多数となる見通しだけに、政策実現に腕を振るう環境は整っている。
 自衛隊誘致を進めた外間氏と同様、糸数氏も自衛隊との協力には積極的な姿勢を示している。島の政権交代が日本の安全保障に何らかの影響を及ぼす可能性は小さい。
 一方で前西原氏を支援した自民、公明にとって、今回の選挙結果は深刻な打撃だ。1月の宮古島市長選に続き「保守地盤」とされる自治体で首長の座を失うことになったからだ。保守地盤イコール自公の地盤でないことが改めて明確になった。
 八重山で保革共闘体制が成功したのも初めてである。
 来年の石垣市長選では、自公に支えられる現職が4選出馬すると見られているが、野党が宮古、与那国のような選挙体制を構築した場合、大激戦になることが予想される。その意味では、今後の八重山の政局に大きな影響を及ぼす選挙結果と言っていいだろう。

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