新型コロナウイルスの感染が拡大する中、「免疫の力」が見直されている。免疫力を向上させるにはどうすればいいのか。管理栄養士の3人に、免疫細胞の7割が集まる「腸」の状態を保つバランスの良い食事法や生活習慣について話を聞いた。
石垣市市民保健部管理栄養士の新本明日香さん、今伊あこさんと、上原真依さん。普段は市健康福祉センター内で市民の健康に関するさまざまな業務に携わっている皆さん。
腸には体全体の免疫細胞の約7割が集中している。腸環境を良い状態に保ち、その働きを活発にすることが免疫力を高める重要なポイントになるという。
新本さんは「栄養バランスの良い食事を規則正しく取ることが最も大事。そのうえで、ヨーグルトなどの発酵食品やきのこなどの食物繊維、オリゴ糖などの栄養素を摂取することが望ましい」と話す。
特定の食品では栄養は補えないこと、食事だけでなく十分な睡眠や適度な運動も、風邪や病気になりにくい体づくりには欠かせないと強調した。
厚生労働省と農林水産省が「何を」「どれだけ」食べたらよいかを示す「食事バランスガイド」では、健康な成人が1日に摂取すべき目安の食事とその量がイラストで表示されている。
米などの「主食」は免疫細胞を働かせ、肉や卵などの「主菜」は免疫細胞を作り、野菜炒めなどの「副菜」は免疫細胞を助ける役割を果たす。
これらに加え牛乳や乳製品、果物などを適量取り、三食をしっかり食べることで腸が活発に活動。免疫力の向上につながる。
上原さんは「多忙な社会人は、偏った食事や不規則な生活になりがち。スーパーの冷凍コーナーで野菜が取れる一食分のプレートを買ったり、栄養バランスの良いお弁当屋さんを探すのもおすすめ」とアドバイスした。
沖縄県版の同ガイドでは、クーブイリチーやパパイヤなど、県民が親しみやすい食品が使用されている。
高齢者の免疫向上について今伊さんは「低体重を避けるために、肉や魚、大豆製品や乳製品などのタンパク質を意識して取ってほしい。コロナ禍でお家時間が増えていると思うが、積極的に歩いて、食事ではよく噛むことを心掛けて」と話した。
厚生労働省によると、食事の工夫のみで特定の感染症リスクを下げることは困難だが、バランスの良い食事や睡眠時間の確保、運動、禁煙、肥満や低体重を避けることは、新型コロナウイルスの感染防御に有効だという。
新本さんは「不規則な食事や生活をした時は数日以内にリセットしたり、軽いウォーキングを継続するなど、できることから健康な体づくりを始めてほしい」と呼び掛けた。