【視点】尖閣上陸 地元の熱意に意義がある

 政府は現状を維持したいのか。だが、尖閣周辺海域に出漁する日本漁船が中国艦船に脅かされる現状が維持されるだけでも、地元住民には耐え難い。尖閣周辺の中国艦船を排除することが政府の目的であるべきだ。しかし岸田政権を含む歴代政権の言動からは、その点がはっきりしない。
 上陸の申請を全く認めないのか、場合によっては認めるのか。日本の外交や安全保障にとって重要な問題であり、政府が国際情勢を踏まえて慎重に判断するのは当然だ。
 岸田首相は代表質問で「尖閣諸島と周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策については、さまざまな選択肢があるが、実際にどのような方策を取るかは、戦略的な観点から判断すべきだ」と述べたが、その通りだ。
 だが、市の上陸申請をごく短期間で不許可とする姿勢が「戦略的な観点の判断」と呼べるかは疑問だ。尖閣周辺では尖閣国有化後、10年近く中国側が一方的に攻勢を強めている。日本がこのまま自制を続けても、状況は悪化しこそすれ、改善する見通しがあるようには思えない。
 地元住民も心しなくはならないことがある。今回の上陸申請が認められなくも、石垣市、沖縄県は、尖閣諸島の実効支配強化に向けた声を上げ続けなくてはならない。
 地元住民のプレッシャーが政府を動かす力になり、中国の覇権的な動きを阻止することにつながる。政府が上陸を認めない方針を明示している現状では、上陸が認められることより、むしろ上陸を求め続ける地元の熱意を示すことに意義がある。
 尖閣問題に対する県政の取り組みがいかにも弱いだけに、石垣市や市議会、さらには市民の全国民に対するアピール力が求められる。

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