与那国と台湾 太古は陸続きか 近隣種の新種ミミズ確認   

全長50㌢を越えるヨナグニオオフトミミズ(写真提供=南谷幸雄・栃木県立博物館主任研究員)
全長50㌢を越えるヨナグニオオフトミミズ(写真提供=南谷幸雄・栃木県立博物館主任研究員)

 与那国島に生息する大型ミミズが、DNA解析の結果や形態的特徴から、台湾北部のタイワンオオミミズに最も近縁な新種であることが、太田英利・兵庫県立大自然・環境科学研究所教授らの研究で分かった。太田教授らは、250万年~500万年前、台湾と与那国島が陸続きだったことを示す有力な証拠になると指摘している。
 与那国島のヘビを研究している太田教授は、ヘビが捕食するミミズにも関心を抱き、2013年、町教育委員会職員の村松稔さんから大型ミミズ2匹の標本を譲り受けた。台湾の研究者2人と共同で与那国島、台湾双方のミミズのDNA配列や形態形質を比較検討した。その結果、与那国島の大型ミミズが新種であることが判明した。
 太田教授によると、与那国の大型ミミズとタイワンオオミミズのDNA配列は、似ているものの少なからず違いがあり、形態にも差異があった。双方の大型ミミズのDNA配列が変異し、両者が種として枝分かれするのにかかった時間を統計学的手法で推定したところ、250~500万年という結果が得られた。
 ミミズは鳥やチョウなどと異なり海を渡ることができないため、両地域のミミズが枝分かれする前、台湾と与那国島が陸続きの時期があったことが、強く示唆されたという。
 太田教授らは今月17日付で国際学術雑誌電子版に研究成果を発表し、与那国島の大型ミミズの学名を「メタフィレ・ドゥナン」と名付けた。「ドゥナン」は与那国島を表す方言。和名に関しては「ヨナグニオオフトミミズ」とすることを提案している。
 今回の研究成果について太田教授は「与那国島は野生生物の固有種の宝庫。世界自然遺産に登録された奄美、徳之島、やんばる、西表以外にも、琉球列島には世界遺産にふさわしい島々があることを地元住民も認識してほしい」と話した。
 村松さんは「大型ミミズの存在は、島の人も含めずいぶん前から知っていて、新種であることも分かっていたが、広く学界で正式に存在が認められてうれしい。与那国島は小さな島だが、八重山諸島の生物多様を支える大事な島だ」と強調した。

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