日本は5回に渡る流行の波に襲われ、それぞれの波の間では現在のように感染が沈静化した時期も経験した。しかし今回の感染状況改善が今までと違うのは、ワクチンが国民の間に広く普及したことだ。
政府は10月、人口の7割がワクチン2回接種を完了したと明らかにした。「ワクチン・検査パッケージ」を活用することで、感染リスクを低減しながら経済を加速化することが可能になった。
石垣市はその好例だ。LCC(格安航空会社)のピーチアビエーションは、2回接種と検査での陰性が証明された人に石垣市が発行する「あんしん島旅プレミアムパスポート」所持者を対象に、石垣発着路線の航空運賃を千円割り引くキャンペーンを始めた。県内でも特に石垣市が率先して「ワクチン・検査パッケージ」の導入に取り組んだ成果である。
石垣市は2回接種証明をスマートフォンで表示する仕組みも県内の他自治体に先駆けて構築した。石垣市の事例は、接種や「ワクチン・検査パッケージ」の活用をいち早く進めた自治体が、経済再開でも先頭ランナーになることを示している。
だが沖縄全体の状況を見ると、接種率は依然低迷しており、接種証明書もいまだにスマホではなく紙が主体だ。県は接種率の向上や「ワクチン・検査パッケージ」の活用にもっと本腰を入れ、経済再開の絶好機に乗り遅れないよう経済対策を推進する必要がある。
ワクチンが普及したとは言っても、効果が持続する期間には限りがあり、政府は3回目接種に向けた準備に入っている。新たな変異株が出現する恐れも否定できず「第6波」の脅威が去ったわけではない。
経済再開が感染対策の徹底を前提とするのは当然のことだ。経済対策の推進に当たり、政府や自治体には、アクセルとブレーキの適切な使い分けが求められる。